【ドイツ語前置詞「inとzuの使い分け」】場所を伝えるとき、どちらを使えばいい?【例文問題付き】
ドイツ語で場所や方向を伝える前置詞は色々ありますが、「in」と「zu」はどのように使い分け、いつ使うのでしょうか?
inもzuも、前置詞として色々な意味・使い方がそれぞれがありますが、今回はin・zuに共通している「場所を表す」を詳しく解説します。
前置詞には、格支配があります
そもそもドイツ語の前置詞には、「格支配」というものがあります。
「場所なら3格支配」「方向・移動なら4格支配」と使い分けます。
3・4格支配の詳しい解説はこちら
【in・zu】いつ使う?
「屋根・壁のある屋内」とは、
- レストラン
- 学校
- 劇場
などのことです。
inもzuも、前置詞として色々な意味・使い方がそれぞれがありますが、
例外の場所
- 場所を伝える→zu Hause(家に・で)
- 方向・移動を伝える→nach Hause (家へ)
上記のように使い分け、語尾に「e」を付けます。
「zu Hause」「nach Hause」はよく使う表現なので、このまま覚えのるがおすすめです。
「in」と「zu」の使い分け
- in→ ~に・で(場所)、~へ(方向・移動)
- zu→~へ(方向・移動)
「in」は、「~に、~へ」と場所と方向の両方に使えるのに対して、
「zu」は、「~へ」と方向・移動を表すときにしか使えません。
「方向・移動」のときの「in」と「zu」使い分け
in, zuは両方とも「屋内のお店や場所(レストラン・カフェ・学校…など)」への方向・移動を表すときの前置詞として使えます。
「Ich gehe ins Büro.(オフィスへ行きます)」
「Ich gehe zum Büro.(オフィスへ行きます)」
この2つの違いは、なんでしょうか?
- in→ずっと中にいるイメージ
- zu→ちょっと寄るだけのイメージ
行きたい目的地に数時間にいれば「in」を使うのに対して、「zu」の場合は「ちょっと寄ってくる」というようなニュアンスが強いです。
とはいえ…
イメージ的にはこのように使い分けできますが、明確に使い分けなくても問題ありません。
どのくらいの時間が「ちょっと」なのか「ずっと」なのか明確に言えないからです。
「in」を使う具体例
- ins Theater(劇場)
- ins Kino(映画館)
- ins Konzert(コンサート)
など
「zu」を使う具体例
ポイント①
- zur Post(郵便局)
- zur Bank(銀行)
- zum Konbini(コンビニ)
など
ポイント②
- zur Party(パーティへ)
- zum Oktoberfest(オクトーバーフェストへ)
- zum Schwimmen(泳ぎに)
- zum Einkaufen(買い物へ)
「in・zuの方向・移動」の使い分けまとめ
「zu」の注意ポイント
「zu」は、「~へ行く」と方向・移動を表すときに使います。
場所を表す前置詞は、「場所→3格支配、方向・移動→4格支配」と使い分けますが、
「zu」は例外です。
「zu」は、方向・移動でも必ず3格とセット(3格支配)で使います。
「Ich gehe in die Schule.(学校へ行きます)」
→「in」は方向・移動で4格支配
「Ich gehe zur Schule.(学校へ行きます)」
→「zu」は方向・移動でも3格支配(zu der)
ちなみに…
ドイツとオーストリア、同じドイツ語圏でも「学校」に使う前置詞は少し違います。
「学校へ行く」は下記のように使う傾向が、国によって違います。
ドイツ→zuが好まれる:Ich gehe zur Schule.
オーストリア→inが好まれる:Ich gehe in die Schule.
【応用】「gehen」を省略する
例①:私は駅へ行きたいのですが
Ich würde gern zum Bahnhof gehen.
↓
省略すると…
Ich würde gern zum Bahnhof.
「würde gern」と「zu(~へ)」があるので「gehen」を省略できます。
例②すぐに家へ帰らなければならない
Ich muss sofort nach Hause gehen.
↓
省略すると…
Ich muss sofort nach Hause.
「muss(助動詞)」と「nach(~へ)」があるので「gehen」を省略できます。
融合系の前置詞
前置詞の中には、最初から前置詞と冠詞がセットになり、
省略した1語に形に変えて使うものがあります。
これを融合形といいます。
融合系 | 前置詞と定冠詞 |
意味 |
im |
in dem |
~の中 |
ins |
in das |
~の中へ |
zum |
zu dem |
~のところへ |
zur |
zu der |
~のところへ |
an/inは、会話でも文章でも、ほぼ100%融合形が使われます。
(例えば、論文などでもan/inは融合形を使います)
しかし、an/in以外は融合すると「話し言葉」なニュアンスになります。
そのため、an/in以外の融合形は使っても・使わなくても、どちらでも大丈夫です。
例文問題
ここまでの解説を参考に、抜けている前置詞・冠詞を埋めてみましょう
問題
問1
Wo ist Johannes?
①Johannes ist ( ) Kino.
②Johannes ist ( ) Hause.
問2
Wohin geht Johannes?
①Er geht ( ) Supermarkt.
②Er geht ( ) Hause.
③Er geht ( ) Schwimmen.
問3
Wo hast du den Schlüssel vergessen?
Ich habe den Schlüssel ( ) Café vergessen.
回答
問1
Wo ist Johannes?
(ヨハネスはどこにいるの?)
①Johannes ist im Kino.
(ヨハネスは映画館にいるよ)
②Johannes ist zu Hause.
(ヨハネスは家にいるよ)
問2
Wohin geht Johannes?
(ヨハネスはどこへ行くの?)
①Er geht zum Supermarkt
(彼はスーパーへ行くよ)
※方向・移動ですが、zuは3格を使う例外です。
②Er geht nach Hause.
(彼は家へ行くよ・家へ帰るよ)
③Er geht zum Schwimmen.
(彼は泳ぎへ行くよ)
問3
Wo hast du den Schlüssel vergessen?
(どこに鍵を忘れましたか?)
Ich habe den Schlüssel im Café vergessen.
(カフェに忘れました)