【ドイツ語「複数形」の使い方】格変化と規則
ドイツ語の複数形は、英語のように「s」を付ければ完成するのとは違い、8つのパターンに分けられます。
複数形のポイント
- ドイツ語の複数形は8つのパターンに分類できるが、名詞を覚えるときに複数形も辞書で調べ、一緒に覚えるのが効果的
- 複数形は名詞の性の区別がないので、冠詞が「die」で統一される
- 複数形の3格は、語尾に「n」をつける
ドイツ語の複数形は、8つのパターンに分類できる
英語の複数形は-s、-esを付ければいいですが、ドイツ語の複数形は英語とは違い少し複雑です。
ドイツ語の複数形は、次の8つのパターンに分類できます。
- ウムラウトを付ける
- ウムラウト+e
- ─e
- ウムラウト+er
- ─er
- ─nまたはen
- ─s
- 変化なし
※ 「ウムラウト」とは、「ä,ö,ü」のように文字の上に点々が付いている文字のことです。
8つのパターンを、名詞付き一覧表でみてみましょう。
実際に、名詞が複数形になるとどう変化するかみてみましょう。
- 赤→女性名詞
- 青→男性名詞
- 緑→中性名詞
- オレンジ→複数形
を表しています。
名詞の性につていは【ドイツ語「名詞の性」】ドイツ語の名詞には性別があります。をご覧ください。
変化パターン |
例:単数 |
例:複数 |
ウムラウトを付ける |
Mutter(母) Vater (父) Bruder (兄) Apfel (リンゴ) Garten (庭園) Vogel (鳥) |
Mütter Väter Brüder Äpfel Gärten Vögel |
ウムラウト +e |
Sohn(息子) Stuhl (椅子) Schrank (クローゼット) Ball (ボール) Topf (鍋) Vorhang (カーテン) |
Söhne Stühle Schränke Bälle Töpfe Vorhänge |
─e |
Freund(友達) Tisch (テーブル) Fisch (魚) Hund (犬) Teppich (カーペット) Bleistift (鉛筆) Fotoapparat (カメラ) Bildschirm (画面) Monitor (モニター) Telefon (電話) Formular (フォーム) Feuerzeug (ライター) Brot (パン) |
Freunde Tische Fische Hunde Teppiche Bleistifte Fotoapparate Bildschirme Monitore Telefone Formulare Feuerzeuge Brote |
ウムラウト +er |
Buch(本) Handtuch (タオル) Dach (屋根) Fach (科目) Land (国) Haus (家) |
Bücher Handtücher Dächer Fächer Länder Häuser |
─er |
Kind(子ども) Bild (絵) Licht (ライト) Schild (道路標識) Feld (畑) |
Kinder Bilder Lichter Schilder Felder |
─nまたはen |
Katze(猫) Tomate (トマト) Banane (バナナ) Erdbeere (苺) Brille (メガネ) Sprache (言語) Lampe (ランプ) Flasche (ボトル) Rechnung (請求書) Reinigung (クリーニング) |
Katzen Tomaten Bananen Erdbeeren Brillen Sprachen Lampen Flaschen Rechnungen Reinigungen |
─s |
Auto (車) Foto (写真) Taxi (タクシー) Handy (携帯) Sofa (ソファー) |
Autos Fotos Taxis Handys Sofas |
変化なし |
Computer (コンピューター) Drucker (印刷機) Kopierer (コピー機) CD-Spieler (CDプレイヤー) Kugelschreiber (ボールペン) Kalender (カレンダー) Kuchen (ケーキ) Wagen (車) Sessel (肘掛け椅子) Schlüssel (鍵) Brötchen (パン) Mädchen (女子) |
Computer Drucker Kopierer CD-Spieler Kugelschreiber Kalender Kuchen Wagen Sessel Schlüssel Brötchen Mädchen |
複数形に規則はある?
8つのパターンに分類できる複数形ですが、「どの名詞が、どの複数形パターン」に属するのか規則があるものをまとめました。
残念ながら、「このタイプの名詞は、この複数形パターン」と100%言える規則はあまり多くありません。
複数形にも例外が多くあるので、名詞を覚えるときに複数形も辞書で調べ、一緒に覚えるのが効果的です。
名詞 | 規則 |
女性名詞の語尾-e | ─n型(100%) 例:Katze→Katzen |
男性弱変化名詞 | ─nまたはen型(100%) 例:Student→Studenten |
中性名詞の語尾-ch | ウムラウト+er型(100%) 例:Buch→Bücher |
男性名詞語尾-er | 変化なし型(100%) 例:Computer→Computer |
語尾-enの名詞 | 変化なし型(100%) 例:Kuchen→Kuchen |
外来語のほとんど | ─s型(約90%) 例:Kino→Kinos |
女性名詞のほとんど | ─nまたはen型(約80%) 例:Tür→Türen |
補足
- -e型・ウムラウト+e型の複数形→ほぼ女性名詞はない
- -er型・ウムラウト+er型の複数形→中性名詞が多い
複数形の冠詞
複数形も名詞なので、冠詞をつけて使います。
冠詞についての詳しい解説は【ドイツ語「定冠詞・格変化」の使い方】「der・die・das」とは?をご覧ください。
名詞の複数形は、性の区別をしません。
つまり男性名詞や女性名詞という概念はなくなります。
「複数形」というカテゴリーで統一され、冠詞はすべて「die」になります。
例を参考にみてみましょう。
- der Sohn→die Söhne
(息子が/単数、男性名詞)→(息子たちが/複数)
- die Tochter→die Töchter
(娘が/単数、女性名詞)→(娘たちが/複数)
- das Kind →die Kinder
(子どもが/単数、中性名詞)→(子どもたちが/複数)
定冠詞der・die・dasが、複数形のときは名詞の性別に関係無く、すべて「die」になっているのがわかります。
複数形の格変化一覧
1格(~が・は) |
die |
2格(~の) |
der |
3格(~に) |
den-n |
4格(~を) |
die |
例①「子どもたちは」→「die Kinder」
- 「~は」は1格・die
- 「子どもたち」は「Kinder」(─er型)
例文:Die Kinder spielen Fußball(子どもたちはサッカーをやっています)
例②「生徒たちの」→「der Schüler」
- 「~の」は2格・der
- 「生徒たち」は「Schüler」(変化なし型)
例文: Das ist der Ball der Schüler(これは生徒たちのボールです)
例③「歌を」→「die Lieder」
- 「~を」は4格・die
- 「歌(複数)」は「Lieder」(─er型)
例文:Ich mag die Lieder von dieser Band(このバンドの歌が好きです)
※ドイツ語の場合、「歌を好き」と4格を使う
複数形の3格は、語尾に「n」をつける
例:「息子たちに」→「den Söhnen」
- 「息子たち」は「Söhne」(ウムラウト+e型)
- 「~に、~と」を意味する前置詞mitは3格支配の前置詞なので「den」
- 3格なので語尾にnをつけて「Söhnen」
例文:Ich treffe mich mit den Söhnen (私は息子たちに会う)
3格でも名詞の語尾に「n」を付けない、例外の複数形
ただし、例外として以下の変化パターンは、3格でも名詞の語尾に「n」を付けないで使います。
1格と 3格比較表をみてみましょう。
「─s」で終わる複数形は、「n」を付けない
1格(~が)の時 | 3格(~に)の時 | |
車たち | die Autos | den Autos |
写真たち | die Fotos | den Fotos |
ソファーたち | die Sofas | den Sofas |
「─n」で終わる複数形も、「n」を付けない
1格(~が)の時 |
3格(~に)の時 | |
自動車たち |
die Wagen |
den Wagen |
猫たち |
die Katzen |
den Katzen |
例文:Ich gebe den Katzen Futter.(私は猫たちに餌をやる)
※「─n」で終わる複数形は、3格で重ねて「n」をつけません。
数字がある場合、基本的に冠詞はつけない
例えば、「2人の息子」「3冊の本」などは複数形ですが、数字が頭についています。
複数形でも、このように数字が付いている場合は冠詞をつけません。
例
- drei Männer(3人の男性)
- sechs Stifte(6本のペン)
- zwei Bücher(2冊の本)
例文
例文:Ich kaufe heute fünf Teller.
(私は今日、5枚のお皿を買う)
「4格(~を)」の文ですが、例文のように数字がついている場合は、「格(が、の、に、を)」に関係なく冠詞はつきません。
例外:数字が付いている場合で冠詞をつけるとき
数字が付いている場合、基本的には冠詞はつけません。しかし例外があります。
例:パン屋さんで、ショーケースに並んだパンを指さしながら、
Ich hätte gern die 3 Brötchen hier.
(この3つのパンをください)
目の前に、実際に物がなければ冠詞はつけません
例:レストランでメニューを見ながら、
Ich hätte gern zwei Mineralwasser.
(ポテトを2つください)
常に複数形で使う名詞
常に複数形で使う名詞、単数形で使う名詞があります。
主語が複数形か・単数形かで動詞の人称変化、人称代名詞など様々なことが変わってきますので、ドイツ語で文を作るときには意識する必要があります。
間違いやすいものを集めました。