【ドイツ語「ein・eine・ein」】「不定冠詞・格変化」とは?使い方と意味【文法解説】
ドイツ語の名詞は、「冠詞」というものを付けて使います。
この冠詞には、様々な種類があります。
今回は、「不定冠詞(ein・eine・ein)」について詳しく解説します。
そもそも、冠詞とは?
名詞の前に付けて、「格・性別・数」を表すもの
ドイツ語の名詞には「性別」があります。
冠詞とは、名詞の前につけてこの「名詞の性別」や「格」「数」を伝えるものです。
名詞の性については、【ドイツ語「名詞の性」】ドイツ語の名詞には性別があります。をご覧ください。
冠詞には文法用語で、定冠詞(der)・不定冠詞(ein)・定冠詞類(dieserなど)不定冠詞類(meinなど)の種類があります。
「定冠詞類」などの言い方は、文法用語です。これ自体を覚える必要はありません。
格とは?
格とは、「が・の・に・を」表すもの
日本語の「が・の・に・を」をドイツ語で伝えるとき、「1格・2格・3格・4格」という4つの格を使います。この4つの格が、おおむね日本語の「が・の・に・を」に相当しています。
例えば、「母が」は1格、「母の」は2格、「母に」は3格、「母を」は4格といった具合です。
※おおむね日本語に相当
動詞や前置詞などによって日本語とは違う「が・の・に・を」を使うことがあります。
例えば「助ける」。日本語では「母を助ける」ですが、ドイツ語では「母に助ける」と3格を使います。
このように必ずしも日本語の「が・の・に・を」と一致するとは限らないということです。
不定冠詞とは?
- 「1つの、ある」という意味の冠詞
- 文脈上・会話上で初めて登場するもの・名詞にもつけられる
「不定冠詞(ein・eine・ein)」とは、「1つの、ある」という意味の冠詞で、英語の「a」に相当します。
その他にも、文脈上・会話上で初めて登場するもの(名詞)にもつけられます。
下記の画像解説のように、冠詞は名詞の前に付けて使います。
「不定冠詞ein・eine・ein」の使い方
①まずは名詞の性別
ドイツ語の名詞には男性名詞、女性名詞、中性名詞があります。
例:
ein Tisch(机) | 男性名詞 |
eine Uhr(時計) | 女性名詞 |
ein Bild(絵) | 中性名詞 |
例のように、男性名詞はein、女性名詞はeine、中性名詞はeinと性の違いを冠詞で表します。
②性別と格を組み合わせます
不定冠詞 変化一覧
男性名詞 | 女性名詞 | 中性名詞 | |
1格(~が) | ein | eine | ein |
2格(~の) | eines-(e)s | einer | eines-(e)s |
3格(~に) | einem | einer | einem |
4格(~を) | einen | eine | ein |
不定冠詞「ein」は「1つの、ある」という意味なので、複数形はありません。
例①:「ある女性が」→「eine Frau」
- 「女性/Frau」は女性名詞
- 「~が」は1格
よって、冠詞は「eine」が入る。
例②:「一つの本を」→「ein Buch」
- 「本/Buch」は中性名詞
- 「~を」は4格
よって、冠詞は「ein」が入る。
このようにドイツ語で冠詞を使うときは、1格~4格を使い分け、
さらに名詞が「男性・女性・中性・複数」のどれに該当するのかを考えなければいけません。
そのため、冠詞を使いこなすには名詞の性も覚えなくてはいけません。
一部は語尾が変わります
男性名詞 | 女性名詞 | 中性名詞 | |
1格(~が) | ein | eine | ein |
2格(~の) | eines-(e)s | einer | eines-(e)s |
3格(~に) | einem | einer | einem |
4格(~を) | einen | eine | ein |
表の中に「eines-(e)s」「eines-(e)s」とあります。
名詞の語尾に付け加える必要があります。
- 男性名詞2格のときは「(e)s」
- 中性名詞2格のときは「(e)s」
【例】
「ある男性の…」→「…eines Mannes」
「ある少女の…」→「…eines Mädchens」
2格(~の)の使い方は少し注意が必要です
例:Das ist das Auto eines Mannes.
(これはある男性の車です)
「das Auto eines Mannes」に注目してください。
「das Auto eines Mannes」
⇩
「車」「ある男性の」
ドイツ語の場合、日本語とは逆の語順で「車、ある男性の」という順番で文を作ります。
このように2格(例文でいう「eines Mannes(ある男性の)」)が後に置かれます。
また、「男性/mann」は男性名詞です。語尾に「es」をつけるのも忘れないようにしましょう。
「定冠詞/der」と「不定冠詞/ein」の使い分け
「der/その」を表す定冠詞と、「ein/1つの」を表す不定冠詞はどのように使い分けるのでしょうか。
パターン1 :特定できるかどうか
- 「der/その」定冠詞は特定できる。
- 「ein/1つの」不定冠詞は特定できない。
例①:Ich will den Stift.
(そのペンが欲しい)
例②:Ich will einen Stift.
(ペンが欲しい)
「der/その」は特定している”そのペン”を欲しいと言っているのに対し、
「ein/1つの」はペンならどれでもいい。つまりどのペンかは特定していないのです。
パターン2:既知かどうか
- 「der/その」定冠詞は、文脈上・会話上ですでに登場したもの・既知のものにつける。
- 「ein/1つの」は、文脈上・会話上で初めて登場するもの・認識のないものにつける。
例①: Wie ist der neue Computer?
(新しいパソコンはどう?)
例②:Hast du einen Computer gekauft?
(あなたはパソコンを買ったの?)
「der/その」は「どう?」と聞いているので、相手がどのパソコンを買ったかすでに知っており、名詞(ここではパソコン)を特定して会話しています。
「ein/1つの」は「買ったの?」と聞いているので、相手がパソコンを買ったことを初めて知った様子です。つまり認識がないのでどのパソコンかは特定できていません。
パターン3:在る前提かどうか
- 「der/その」定冠詞は、そこに在る前提で話をするときに使う
- 「ein/1つの」不定冠詞は、そこに在るかどうか分からないときに使う
例①:Wo ist die Toilette?
(トイレはどこですか?)
例②:Gibt’s hier eine Toilette?
(この辺りにトイレはありますか?)
「der/その」は「どこですか?」と聞いているので、トイレがその場に在る前提で話をしています。
「ein/1つの」は「ありますか?」と聞いているので、トイレがその場に在るかどうか分かっていません。
例文で感覚を掴もう!
不定冠詞「ein・eine・ein」が「格(が・の・に・を)」によって、どう変化しているか注目しながら例文をみてみましょう
Ein Kind spielt Fußball.
(ある子どもがサッカーをします)
Das ist das Buch eines Professors.
(これはある教授の本です)
Wir kaufen ein Haus.
(私たちは家を買います)
Sie schicken der Frau einen Brief.
(彼らはその女性に(1通の)手紙を送ります)
※「その女性」は特定できているので「der」を使う
「手紙」は1通という意味で「ein」を使う
例文問題
一覧表を見ながら、カッコ内に格変化した冠詞を入れてみましょう
男性名詞 | 女性名詞 | 中性名詞 | |
1格 (~が) | ein | eine | ein |
2格 (~の) | eines-(e)s | einer | eines-(e)s |
3格 (~に) | einem | einer | einem |
4格 (~を) | einen | eine | ein |
問1
( )Frau geht nach Deutschland.
(一人の女性がドイツに行きます)
問2
Ich helfe ( ) Mann.
(私はある男性を助けます)
問3
Er isst ( ) Brot.
(彼は一つのパンを食べます)
問4
Ich schenke meinen Eltern ( ) Wein.
(私は両親にあるワインを贈ります)
解答
問1
Eine Frau geht nach Deutschland.
(一人の女性がドイツに行きます)
問2
Ich helfe einem Mann.
(私はある男性を助けます)
※「helfen/助ける」はドイツ語では、3格(~に)を使います。
問3
Er isst ein Brot.
(彼は一つのパンを食べます)
問4
Ich schenke meinen Eltern einen Wein.
(私は両親にあるワインを贈ります)
「不定冠詞ein・eine・ein」のポイント
- 不特定の対象(名詞)を指す「1つの、ある」という意味
- 文脈上・会話上で初めて登場する名詞にも付ける
- 冠詞は、名詞の性別と格を組み合わせて使う